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さて、今回は録音に関することをだらだら書きます。
いろいろやり取りや考えを文章にしていると、
「ああ、僕らの世界って異質なんだな」
と思うことがあります。
今日もありました。
生演奏を本業にする僕らにとって、レコーディングって何だろう。
ふだん弾く曲を音をCDにとってお客さんにいつでも聞いてもらうようにするプロセスですよね。
でも最近いろんな話がありました。
自分の弾けない曲をレコーディングするという話。
レコーディングソフトには「音程補正」という能力があり、かなり外れたピッチでも修正できてしまうのです。
これには、その世界を知らなかった自分としては面食らう出来事でした。
であって事実ではないわけです。
クラシックの仲間のほとんどはレコーディングということをしません。CD全盛期でもトップアーティスト以外はやっていなかったでしょう。
なぜか。
前回、と同じ理由だが、CDを作るうえでの恐れとして
これはクラシックの作品ではかなり厳しい。
わたしはヴァイオリン奏者なのでヴァイオリン視点ですが、とにかく高度な技術で、正確無比で演奏するということがどれだけ大変なことか。
一流奏者でいられる垣根はここにあるといっても過言ではないです。
どんな難しい曲でも音程のミスが少ない。安定さ。
しかし、「音程補正」ソフトがあれば?
難しい曲でもなんとかレコーディングできますよね。
名前は伏せますが(1名ではない)
一流の技術を持っていないアイドル演奏者の生演奏やYouYubeを聴くと、ミスが多くほんとに弾けるの?と耳を疑ってしまいますが、
彼女らのCDを聴くとそんなミスはみじんもありません。
CDというものは演奏技術を閉じ込めるものであると同時に
聴くお客さんを楽しませるといった目的があります。
なので「音程補正」はしょうがないなとは思います。
ただ補正にすべてを依存している奏者を見ると、果たしてそのCD演奏を聴くお客さんはいったい何がこの人の演奏でいいと言っているのか。
いちど、生演奏危機に行ってきて!
と言いたくなります。
その方たちのファンはすばらしいといいます。
ということは、一般の人は、些細な音程を判別をするだけの力がないということでしょうか?
最近はそうとしか思えないことがたくさんあります。
あまりに多くの方が似た反応なので、
まてよ、僕たちがあまりにも異質なんじゃないか?
という考えになっています。
ヴァイオリンの演奏において、音程の教育は極めて厳しく
毎日スケール毎日基礎練習。
そのなかではぐくまれた音程に対する執拗なまでのこだわり。
これがバイオリンに対する壁を高く積み上げている最大の原因だと思います。
音程。
音程
されど音程
1に音程、2に音程。
細やかな技術とプレッシャーでノイローゼになる奏者も少なくありません。クラシックのヴァイオリニストにとって音程とは、それだけ厳しいものなのです。
レコーディングを渋る仲間の気持ちもわかります。
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