【10000円のギャラ】宗次ランチタイムコンサートでやってること①プログラム編



ご存知ですか?
名古屋市栄にある宗次ホール。

オーナーはカレーの有名店「CoCo壱番屋」で、カレーの売上でホールが立ちました。ここでは月に10回以上、ランチタイムコンサートというお昼時の格安コンサートが企画されています。

画像の説明

お客さんは1000円で1時間のコンサートを聴くことが出来、出演を許可された団体は一人あたり10000円のギャラとグループにチケット100枚が手渡されます。

チケットは50枚までは売った分だけ奏者のものになります。
つまりピアノソロで出演できたら謝礼は最大60000円ですね。

しゅごい・・・

51~100枚は販売しても100円のキャッシュバックにしかなりません。
100枚全部売ると

1~50枚
50000円
51~100枚
5000円

合計55000円

これに出演料10000円(税込)が加わります。
仕事としてはなかなかいいと思いますね。

100枚売って4人グループだと
等分で1人23750円になります。

51枚以上のキャッシュバックが低すぎるのでとりあえず50枚売れれば仕事として十分なギャラが入るのではないでしょうか?

しかもコンサートは終演が12:30。いろいろ手続きを終えても14:00には開放なので、夕方以降に仕事が入れられます。平日午前の仕事なんてレッスンを含めてなかなかないのでこれはありがたくないですか?

ただし、自分たちの手で売った分以外はホールの収益になります。満席になっても10000円しか入らない場合もあるのでなんとか売りたいところ。(まあ、満席になるような演奏団体は人気があるので「売れない」はずはないと思いますが)

23000円をオーケストラのテュッティで稼ごうと思えば3日間は拘束されます。しかも名曲ばかりを演奏すればいいので、普通のクラシック奏者だったら自分の得意なネタを持っていけば練習時間もぐっと減らせるのでありがたいはずです。

とはいっても同じネタで何度も出演できるわけでもないし、お客さんも「次」を期待します。なので色んな仕事で演奏するプログラムと兼ねて演奏し、練習作業効率を低くすれば、特にこのコンサートだけが大変、ということにはならないはず。

出演ルール

出演には厳しい規約があって、多くは

  1. お客さんが多く呼べない団体は次からは無いよ。
  2. バロックからロマン派までのクラシックの名曲だけで
  3. 1曲の長さは最長で10分まで
  4. トークは曲のことを

という感じです。
クラシック入門的な客層向けの企画ですね。というか別に厳しすぎるとは思いません。自分が好きで応募して出演してるのに文句言うのは筋違いな気がします。僕はホール開設当初から結構参加させて頂いてるので通算で何回出演したかわかりません。

ホール担当者も悩んでる

開催日が多く名曲に限定するということは、どの公演も似たり寄ったり。なかなかオリジナリティは出せません。特に「魅せる」ということになれてない若者演奏家が困っているそうです。

そこで、参考になるかどうかわかりませんが、とりあえず僕が最近この企画出演の際にやっていることを見せてみようと思い、記事にします。

ここ5年位はほぼ自分の楽団NewTonesで年2回の出演をしています。
なので先日3/1は第11回となります。

過去のプログラム

まずは僕たちが演奏してきた曲を公開します。(随時更新)

1st 新生、ニュートンズ!!

2013.07.30

ジャズワルツショスタコーヴィチ
ヴィヴァルディの夏 全楽章ヴィヴァルディ
ハバネラビゼー
リベルタンゴピアソラ
カレータンゴ菅原拓馬
ツィガーヌラヴェル
愛を奏でて~映画「海の上のピアニスト」(EN)モリコーネ


2nd 春の息吹とゴジラ

2014.03.27

ヴァイオリン協奏曲「春」全楽章ヴィヴァルディ
アルプス一万尺変奏曲ヴュータン
歌掛け~春の祭り~菅原拓馬
日本組曲より盆踊り伊福部昭
2つのサロン風小品、作品6より「ロマンス」ラフマニノフ
ブエノスアイレスの春ピアソラ
ゴジラのテーマ(EN)伊福部昭


3rd クリスマス・イヴ・スペシャル

2014.12.24

きよしこの夜シュニトケ
師走幻想曲菅原拓馬
ブエノスアイレスの冬ピアソラ
カルメン幻想曲サラサーテ
マタイ受難曲~第47曲アリアバッハ
春夏秋冬NewTones
戦場のメリークリスマス(EN)坂本龍一


4th 踊る!ニュートンズ

2015.05.21

仮面舞踏会よりワルツハチャトゥリアン
ダッタン人の踊りよりボロディン
ハンガリー舞曲第4番ブラームス
ハンガリー舞曲第5番ブラームス
悲しきワルツOp.44シベリウス
悪魔のダンスジョン・ウィリアムズ
剣の舞ハチャトゥリアン
ヴァイオリン協奏曲より第3楽章チャイコフスキー
火の鳥より「カスチェイ王の魔の踊り」ストラヴィンスキー
コーヒールンバ(EN)ホセ・マンソ・ペローニ


5th イエス!ニュートンズ

2015.12.24

ピエ・イエズウェーバー
怒りの日モーツァルト
天使のミロンガピアソラ(1921-1992)
天使の死ピアソラ(1921-1992)
天使の復活ピアソラ(1921-1992)
花のワルツチャイコフスキー
ヴァイオリン協奏曲作品61よりベートーヴェン
クリスマス・フェスティバルアンダーソン(1908-1975)
そりすべり(EN)アンダーソン(1908-1975)


6th 祭りだ!ニュートンズ

2016.07.22

交響詩『禿山の一夜』ムソルグスキー(1839-1881)
スケルツォ~『真夏の夜の夢』よりメンデルスゾーン(1809-1847)
死の舞踏サンサーンス(1835-1921)
火祭りの踊り~バレエ音楽『恋は魔術師』~ファリャ(1876-1946)
七夕~日本組曲~伊福部昭(1914-2006)
象~動物の謝肉祭~サンサーンス(1835-1921)
ブエノスアイレスの夏ピアソラ(1921-1992)
NewTonesのためのラプソディ外山雄三(1931-)
水族館~動物の謝肉祭~(EN)サンサーンス(1835-1921)


7th 走れ!ニュートンズ

2016.12.13
12/13はMy Birthday

歌劇「天国と地獄」より序曲オッフェンバック(1819-1880)
動物の謝肉祭より亀サンサーンス(1835-1921)
ブエノスアイレスの秋ピアソラ(1921-1992)
ウィリアムテル序曲よりスイス軍の行進ロッシーニ(1792-1868)
フィドル・ファドルアンダーソン(1908-1975)
バンジョーとフィドルクロール(1901-1980)
剣の舞ハチャトゥリアン(1903-1978)
雪は踊っている 《子供の領分》よりドビュッシー(1862-1918)
ハッピーバースデー変奏曲よりハイドリッヒ(1935-)
クシコスポスト(EN1)ネッケ(1850-1912)
トリッチトラッチポルカ(EN2)ヨハン・シュトラウス2世(1825-1899)


8th そうだ、さんぽにいこう

2017.06.15

サリーガーデンアイルランド民謡
ひばりルーマニア民謡
モルダウスメタナ(1824-1884)
なくした小銭への怒りベートーヴェン(1770-1827)
ピアノソナタ第14番作品27の2 第1楽章ベートーヴェン(1770-1827)
交響曲第6番作品68「田園」より第1楽章ベートーヴェン(1770-1827)
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調作品35より第1楽章チャイコフスキー(1840-1893)
組曲「展覧会の絵」よりムソルグスキー(1893-1881)
庭の千草(EN)アイルランド民謡


9th 船出だ!ニュートンズ

2018.01.26

春の海宮城道雄(1894-1956)
交響詩「海」より“海の夜明けから真昼まで”ドビュッシー(1862-1918)
リベルタンゴピアソラ(1921-1992)
「四季」-12の性格的描写より 1月「炉端にて」チャイコフスキー(1840-1893)
スカボロフェアーアイルランド民謡
ジュピターホルスト(1874~1934)
ヴァイオリン協奏曲より第3楽章外山雄三(1840-1893)
世界旅行~アメリカ編~NewTones
冬2楽章(EN)ヴィヴァルディ


10th 節目だよ!10回出演ニュートンズ

2018.07.20

仮面舞踏会ワルツハチャトゥリアン(1903-1978)
火祭りの踊りファリャ(1876-1946)
天使のミロンガピアソラ(1921-1992)
死の舞踏サンサーンス(1835-1921)
アルプス一万尺変奏曲ヴュータン(1820-1881)
ラフマニノフに恋してラフマニノフ(1873-1943)
ヴァイオリン協奏曲より第3楽章チャイコフスキー(1840-1893)
リベルタンゴピアソラ(1921-1992)
チャルダッシュ(EN)モンティ(1868-1922)


11th メディア系ニュートンズ

2019.03.01

「戦場のピアニスト」「砂漠の朝」「みじかくも美しく燃え」「チャップリンの独裁者」「馬あぶ」「ファンタジア」「転校」「白い巨塔」「エンリコ4世」

タンホイザー序曲より抜粋ワーグナー(1813-1883)
トロイメライシューマン(1810-1856)
交響詩『禿山の一夜』ムソルグスキー(1839-1881)
ロマンスショスタコーヴィチ(1906-1975)
ハンガリー舞曲第5番ブラームス(1833-1897)
ピアノ協奏曲第21番ハ長調kv.467より第2楽章モーツァルト(1756-1791)
オブリビオンピアソラ(1921-1992)
ヴァイオリン協奏曲 Op.35 D-durより第1楽章コルンゴルト(1897-1957)
ノクターン第20番嬰ハ短調「遺作」(EN)ショパン(1810-1849)


12th 幻のニュートンズ

2019.9.30

M-1グリーンスリーブス幻想曲ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958)
M-2幻想小曲集 作品12より「夕べに」シューマン(1810-1856)
M-3死の舞踏サン=サーンス(1835-1921)
M-5夢のあとにフォーレ(1845-1924)
M-6幻想即興曲ショパン(1810-1849)
M-7天使のミロンガピアソラ(1921-1992)
M-8スコットランド幻想曲より最終楽章ブルッフ(1838-1920)
M-9幻想交響曲よりベルリオーズ(1803-1869)
EN天使の死ピアソラ(1921-1992)


2000回記念だよ!ニュートンズ13th

2020.3.6

M-1春 第1楽章ヴィヴァルディ(1678-1741)
M-2春 第2楽章ヴィヴァルディ(1678-1741)
M-3春 第3楽章ヴィヴァルディ(1678-1741)
M-5モルダウスメタナ(1824-1884)
M-6ヴァイオリン協奏曲ホ短調メンデルスゾーン(1809-1847)
M-7誰も寝てはならぬプッチーニ(1858-1924)
M-8ツィゴイネルワイゼンサラサーテ(1844-1908)
M-9ブエノスアイレスの春ピアソラ(1921-1992)
ENチャルダッシュモンティ(1868-1922)


歓喜!ニュートンズ14th

2020.10.9

M-1ヴァイオリンソナタ第5番より第1楽章ベートーヴェン(1770-1827)
M-2月光第1楽章ベートーヴェン(1770-1827)
M-3ベートーヴェンの様式によるロンディーノクライスラー(1875-1962)
M-4失われた小銭への怒りベートーヴェン(1770-1827)
M-5交響曲第6番「田園」より第1楽章ベートーヴェン(1770-1827)
M-6ヴァイオリン協奏曲より第1楽章ベートーヴェン(1770-1827)
M-7交響曲第5番「運命」より第1楽章ベートーヴェン(1770-1827)
EN交響曲第9番第4楽章よりベートーヴェン(1770-1827)


まず、タイトル

タイトルからして馬鹿ですね。
ただ、「名曲の花束」とか「フランスの調べ」とか「ヴァイオリン名曲集」とか、そんなタイトルを毎回付けていて1000回以上公演を誇るランチタイムコンサートでは普通に考えて飽きませんか?

僕なら嫌だ。確実に飽きる。魅力を感じない。

なのである程度はフィーリングや勢いで決めています。不思議なもので、何度かやってるとこれが当たり前になるんですよね。だから逆に僕たちが「名曲の花束」なんてやったらお客さんは「珍曲の花束じゃないの?」と思うかもしれない。

でもそれが逆に楽しいですね。

多分「僕たちが考える名曲の花束」って感じで珍曲を並べると思います。

・・・で、タイトルですが
これはどうやって付けてるかというと、

1st 新生、ニュートンズ!!

グループNewTonesお披露目コンサートだから

2nd 春の息吹とゴジラ

春だし伊福部昭やるから、っていうかアンコールがゴジラ

3rd クリスマス・イヴ・スペシャル

クリスマスだから

4th 踊る!ニュートンズ

踊り系の音楽を揃えたから

5th イエス!ニュートンズ

クリスマスだから(2度目)

6th 祭りだ!ニュートンズ

祭りな感じだから

7th 走れニュートンズ

師走だし運動会系の音楽揃えたから。ちなみに僕の誕生日

8th そうだ、さんぽにいこう

庭、鳥、画廊、田園風景、落とし物から連想

9th 船出だ!ニュートンズ

正月っぽいプログラムがあるし海もあるしメイン曲が「世界旅行」だから

10th 節目だよ!10回出演ニュートンズ

第10回だし今までやった曲を振り返ってるから

11th メディア系ニュートンズ

「映画の中のクラシック」とかありきたりな名前が嫌だから

12th 幻のニュートンズ

幻想曲をとにかく多く

13th 2000回記念だよ!ニュートンズ13th

その名の通り記念。宗次オーナーのリクエスト曲を主軸に構成。


規約外の曲

2013年当初は規約も甘かった。
アンコールくらいは映画音楽でも良かったんですが、ここ数年は厳しくなった(僕のせい?)のでいろいろ考えます。


どうしても僕は近現代もやりたいんですよ。
メンバーもそういう思いが強い。

けしてベートーヴェンやバッハが嫌いなのではないけれど、そればかりはつまらない。ただ、これは実はホールやお客さんも同じなんですよね。

クラシック初心者のお客さんはたしかにいるけど、そうじゃない人もたくさんいる。なので「まあいいか」と思わせるようにホールの規約を破るには、それ以外をまともな曲にすればいい。

ホール的にまともな曲とは

バッハ、ベートーヴェン、ブラームスを始めとして、ドヴォルザーク、チャイコフスキー、ラヴェルといった、音楽の教科書に掲載されているバロックからロマン、印象派あたりの有名な作曲家を入れればいいのです。

そういう曲目の中に
ピアソラ、ショスタコーヴィチ、コルンゴルト、伊福部昭、ジョン・ウィリアムズといった作曲家をサンドイッチのように挟むのです(それでも審査に落ちる時はあります)

こういった曲たちは逆にロマンティックな曲とはことなるスパイスのような役割に成り、コンサートの雰囲気をガラッと変えたり、非常に大事な役割を担います。長すぎは禁物ですが。

John Williams:Devil's Dance

ヴァイオリンの曲以外の曲

NewTonesはヴァイオリン2人とコントラバス、ピアノ、たまにドラムパーカッションが入るグループです。どうしてもヴァイオリンの曲を選択しがちですが、それではネタが尽きる。

僕はプロオケの経験もあるし弦楽四重奏などのアンサンブル曲もある。それをアレンジしてしまえばいい。

そもそもオケの曲も昔からヴァイオリンとピアノのためにアレンジされていることなんてザラです。それを真似ればいいのです。


やりたい曲を決める

とにかくそれがないと始まりません。
大枠を決めたらあとは適当に決まっていきます。

僕はピアソラが好きなのでよく取り入れましたが、流石にネタが切れてきましたね。やっぱり常に色んな曲を知ったり吸収したりする機会が必要だなって感じます。

とまあそんな感じです
どうぞご参考ください。(参考になるかな?)

そもそもアレンジなんて出来ないし、専門の作曲家に依頼したらお金がべらぼうにかかってたまらないじゃん!!

ていうツッコミは置いておいて

次はアレンジ編です。

②アレンジ編

①プログラム編
②アレンジ編
③チラシ編
④事前準備編
⑤コンサート編

最後までお読みいただきありがとうございます!
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