【10000円のギャラ】宗次ランチタイムコンサートでやってること②アレンジ編



「一策さんは何でもできるからいいですよね」

え?

何いってんですか。

何も出来ないですよ。

っていう応え方をしています。
だってヴァイオリンの演奏以外ほとんど誰にも習ってないもの。


というわけで前回の記事 【10000円のギャラ】宗次ランチタイムコンサートでやってること①プログラム編に引き続き、アレンジ編を書きます。

宗次ランチタイムコンサートでは演奏できる曲のジャンルや時代やタイプがかなり厳選されているため、多くの奏者は既存の楽譜しか無いクラシックという分野では「選曲」に相当頭を悩ましているそうです。

楽譜だって購入となれば馬鹿になりません。
買うとかなりの出費になります。

原曲主義

ポップスなどとは違い、
「原曲に忠実」「原曲第一優先主義」
という概念がクラシック奏者には常につきまといます。

これは教育の賜物ですね。
バッハの無伴奏ソナタは〇〇版がよい。
ベートーヴェンの交響曲スコアは最新の研究が反映された〇〇版がいい。

クラシック芸術の楽譜の現場は常にこのような考え方がはびこります。
音楽の博物館的な要素が大きいですから当然ですね。

ですので作曲者本人以外の「アレンジ」という考え方にまず壁を感じます。
ちょっと原曲と違った感じや音の運びがあるとものすごく敏感になるのです。

それは職人としては当たり前ですが、
「どういうものをお客さんに提供するか」ということでまず考えるべきかと

クラシックの骨から髄まで

知ってる人ってそこまでいるんですかね?
多くはメロディと伴奏、つまりはポップス的な考え方に近い聞き方をしている人が多いです。

ランチタイムコンサートに来るお客さんはクラシック初心者から中級者(何を持ってグレード分けしているかわかりませんが)であり、基本的に楽しんでいるのは

  1. 旋律
  2. 伴奏
  3. 音色
  4. 奏者(人柄、トークや見た目)
  5. ブランド価値(奏者のレッテルや社会的評価)

です。対位法の極意や見事なまでのオーケストレーションの極意をスコアから連想して作曲家の意図や妙技を理論的に楽しめる方はかなりの小数派です。アレンジが多少原曲通りでなくてもその曲のメインのメロディが聞ければ楽しめる、という方がかなり多い。

そもそも選曲規約

【だれもが聴いた事のある名曲のみのプログラム】という時点で、高度な作曲技術や最新のクラシック作品ではないということ。メロディと伴奏という形に特化した短めの小品ということになります。

アレンジはOK

さて、アレンジ次第でどうとでもレパートリーが増やせるのですが、肝心のアレンジをどうすれば。という問題になりますよね。僕が音楽大学在学中、まともにアレンジをしている人間は作曲科の方の一部以外知らなかったです。

専科のものですら弦楽器の扱いに離れておらず、演奏しにくい割に効果が出ないアレンジをいくつも見てきました。

そういう意味ではヴァイオリンをやっている僕はヴァイオリンの楽譜を書くことには人一倍有利ってことになります。

アレンジの仕方について

僕はほぼ我流です。
市販の楽譜を見てなんとなく形を真似たりします。
ピアノはまったく弾けません(大学入学前に1年間必死こいて課題曲を練習しました)
ピアノのアレンジはそれこそひとつひとつ確認したりして書きます。

オケ曲のアレンジ必須アイテム

IMSLPという著作権の切れた楽譜を掲載しているサイトでスコアを手に入れて、アレンジの参考書にします。ちょっと前までは栄駅にある愛知芸術文化センターのアートライブラリーでレンタルしてましたね。

原曲をふくめ、原曲をピアノでアレンジされているものなども同時に参考にします。

楽譜を書くソフト

僕はピアノが弾けないため、代わりに音を出してくれるソフトが必要です。数年前までは1万円くらいの安いソフトを使っていましたが、アレンジの仕事も増えてきたのでfinale 2014という6万くらいのソフトを使うようになりました。(今はfinale 25 にバージョンアップしています)


ただ、フルスペックでなくとも小編成から軽いオーケストラの楽譜であれば、もっと安い廉価版のソフトでも大丈夫です。



ソフトに慣れるのには時間がかかるため、出来るだけ早くから触っておくことをおすすめします。楽譜をマウスでポチポチして入力するのは大変なので、MIDIキーボードをおすすめします。

あるとないとでは、作業効率に雲泥の差が出ます。
ちなみに僕のfinale Tipsはこちら

実例
田園交響曲

ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」をピアノとコントラバスとヴァイオリン2台のためにアレンジする場合。

IMSLPからダウンロードするもの

  1. オリジナルスコア
  2. ピアノソロ譜
    リストを始めとした著名なピアニストが書いてます。ピアノの派手なテクニックを確認できます。
  3. ピアノ連弾譜
    コンデンススコアの代用みたいなもので、ざっくり全体を見ることが出来ます。省略音も少ない。

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短くする

宗次ホールで演奏する際は10分以内にしないといけません。交響曲などは1楽章だけでも10~20分の作品が多いのでなるべくうまくカットします。どこにもカットする場所がない時は、自分で簡単に作曲してつなげることもあります。

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それぞれの楽器が主役

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4人の奏者がそれぞれ必ずメロディを担当するようにします。前衛ヴァイオリン2名はハモらせたり、会話のようにしたり動きがあるようにします。

そうすることで生まれる利点は

  1. お客さんが飽きない
  2. 奏者が飽きない
  3. メロディ楽器以外の奏者もチケットが売りやすくなる

たまにはピアノ主役の曲を入れる

先日はモーツァルトのピアノ協奏曲を組みました。もともと弦楽四重奏とピアノソロアレンジがよく演奏されるため、流用がしやすいのです。

その他にもピアノソロ曲にストリングスで伴奏をオリジナルでいれたりします。

オリジナル性

YouTubeにはアイディアがいっぱいです。
同じ曲でも様々なアレンジがあります。
たまにはそういうネタも取り入れたいですね。

自分独自のメドレーとかもいいかもしれない。
これもピアノ主体の曲ですね。

楽譜の納期

楽譜はリハーサルの2週間前には奏者に渡せるようにします。アレンジの時間がどうしても長くかかってしまうので、一番気を付けないとイケない部分ですね。

アレンジの流用

とにかくアレンジには時間がかかります。他の公演や別編成にアレンジできるように対策を練っておきます。そうすることで色んな仕事と絡んできて得することが多くなります。

楽譜の販売

iPad の楽譜閲覧アプリ piascoreでは自分お作った楽譜を売ることができるみたいです。こういう事も合わせて考えていけるといいですね。記事はこちら


アレンジ引き受けます

お金は相場より安くしますがそれでもきちんといただきます。それでよければご相談ください。

メールフォームはこちら


気をつけているのはこれくらいです。

何かの参考になるのかな・・・

次はチラシ編いきます。
こっちも語るよ。

③チラシ編

①プログラム編
②アレンジ編
③チラシ編
④事前準備編
⑤コンサート編

最後までお読みいただきありがとうございます!
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